第4話 彫刻に騙されないように
二頭のマンモスを倒した一行は、開いている扉に向かった。
廊下には彫刻が置かれている。
上半身だけで、指差しポーズをしている真っ白な彫刻。
同じ顔の彫刻が数mごとに置かれていて、どこかを指差している。
しかも指差す方向は、皆、異なっていた。
「また壊すのか?」
「流石に……」
―カタ、カタ、カタ、カタ、カタ。
環がホシの言葉に呆れていると、近くにある彫刻達が突然動き出し、一斉に同じ方向を指差した。
「ビ、ビックリした……」
「なんか怪しいですね。パズルでもするんでしょうか?」
「多分そうかもしれませんよ。ね、ホシ兄」
コシの言葉にホシも誇らしげに笑った。
だが、環は警戒心を解いていなかった。
「今度はこっちから仕掛けますよ!」
「また壊すみたいだな……やるしかないか」
何か仕掛けられる前に、今度はこちらから仕掛けて破壊する。
環のやり方は納得できなかったが、ドワーフ達は何とか、武器を構えた。
ホシは短剣を手に、彫刻に素早く斬りつけた。
二度も刃が彫刻の石肌に食い込んだが、彫刻は固く、倒す事はできなかった。
マアリンは呪文を唱えて彫刻を攻撃しようとしたが、彫刻に詠唱を邪魔される。
彫刻はドウォルムールに向かって、重い拳を振り下ろす。
ドウォルムールは盾で防ごうとしたが、力の差は歴然としていて、二撃を受けてドウォルムールはぐらついた。
二体目の彫刻もドウォルムールに襲いかかった。
ドウォルムールは必死に回避したが、一撃は肩に食らって、激痛が走った。
二体の彫刻がホシに襲いかかり、ホシは短剣で応戦したが彫刻の攻撃は激しく、一撃は腹、もう一撃は頭に命中し、ホシは意識を失って倒れた。
「大丈夫ですか、ホシ!」
環はホシのもとに駆け寄り、回復薬を口の中に放り込み、復活させる。
「ありがとう……」
ホシは目を覚まして、環に感謝した。
「いくぞっ!」
ドウォルムールは斧を振り回して彫刻に反撃した。
斧は彫刻の首に深く刺さり、急所を突き、彫刻は崩れ落ちた。
コシはハンマーで彫刻に殴りかかる。
ハンマーは彫刻の胸にぶつかり、彫刻は粉々に砕けた。
「よし、みんなが頑張ってるなら……」
ホシは再び立ち上がり、二体目の彫刻に短剣で斬りつけるが、彫刻はホシの攻撃を全てかわした。
二体目の彫刻はホシに強打を繰り出した。
ホシは盾で防ごうとしたが、彫刻の拳は盾を突き破って、ホシの胸に当たり、ホシは再び倒れ込んだ。
「くそっ、また来たか!」
二体の彫刻はドウォルムールに攻撃した。
ドウォルムールは盾と斧で防御したが、彫刻の攻撃は強力でドウォルムールは攻撃を食らってしまう。
四体目の彫刻がドウォルムールに向かって思いっきり腕を振り下ろす。
ドウォルムールはガードを試みたが、彫刻の拳は防御を破って、ドウォルムールの腹に当たった。
「行きますよ!」
環は二丁拳銃で二体目の彫刻に撃ちかけたが、彫刻は銃弾をかわした。
ドウォルムールは二体目の彫刻に斧を振り下ろし、斧は彫刻の腕に刺さり、大きなダメージを与えた。
「ホシ兄、目を覚ましてくれ」
コシはホシに治療を施すと、ホシの傷は癒えて、ホシは復活した。
マアリンは呪文を詠唱して、二体目の彫刻に光の弾丸を放った。
光の弾丸は彫刻の胸に命中し、彫刻は爆発した。
「さあ、行きますよ!」
環は四体目の彫刻に銃弾を連射して大ダメージを与える。
コシのハンマーは二体目の彫刻に腰にぶつかり、彫刻をバラバラにした。
続けてホシが短剣で三体目の彫刻の首と腕と背中に刺し、彫刻をバラバラにした。
四体目の彫刻はドウォルムールとコシに攻撃したが、彫刻の攻撃はドウォルムールとコシの防御に阻まれた。
最後にホシの短剣が彫刻の首と腕と足に刺さり、全ての彫刻を倒すのだった。
「戦いこそ正義。いい時代になりましたね」
環はバラバラになった彫刻を見ながら、そう呟くのだった。