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第6話 奪われた宝物

「それじゃ、次はサイト2ですね」

 こうしてサイト1の探索を終えた後、プシット達がサイト2に行こうとした時――


「ちょっと待つんじゃあーーー!!」

 女性の甲高い声が、サイト1に響き渡った。


「誰ッ?!」

「誰です!?」

 プシットがヒーローシューターを構えて警戒すると、声のした先には、仮面を被った三人組がいた。

 一人はタコ、もう一人はイカ、最後はマンタだ。


「ほほーう、誰かと聞いたな? 耳のモズクかっぽじって……」

「あなた達は、すりみ連合ですか?」

 その姿はプシットには見覚えがあった。

 最初にバンカラ街に来た時、オオデンチナマズが行方不明というニュースを流したのは彼らだからだ。

 空気を読まないプシットの発言に三人はずっこけ、身に着けていた面がずれる。

「せ、せやけど……」

「ええい、気を取り直して」

 イカは面を直すと、改めて見得を切った。

「三度のメシよりオタカラ・ハント! 踊るギャングスター、ウツホ!」

「一切合切食い荒らす! サメ使いのフウカ!」

「エイ! エイ!(一獲千金、千客万来! マンタのマンタロー!)」

「バンカラ代表」

「イカした義賊」

「エイ!(贅沢三昧)」

「『すりみ連合』だッ!!」

 プシットに邪魔されながらも、何とかすりみ連合はプシット達に名乗った。

 そして、ウツホはプシットに駆け寄ると、彼が持っていたペンダントを取った。

「あ、僕のペンダントが……!」

「このお宝はワシらのもんじゃ!」

「嫌と言っても返さへんよ。お宝はぜ~んぶウチらのもんやさかい」

「エイ!(高値で売れそう!)」

「ほな、カイサン!」

 フウカはそう言うと、煙玉を投げて退散した。


「僕のペンダントが……」

 すりみ連合にペンダントを奪われたプシットは落胆し、ブキを握る力も弱くなっていた。

 ラクスは残念そうに飛び跳ねている。

「そっか……ヒーロー装備を守ってくれたもんね」

「ペンダントが大事だって事、分かるよ」

「すりみ連合は要注意だな」

 その大切なペンダントを奪われれば、プシットが落ち込む事は確実である。

 アオリとホタル、そしてセピアは大きく頷いた。

 そして、プシットのもう一つの目的もここで生まれた。

 すりみ連合に奪われたテンタクルズのペンダントを取り戻す事である。


「さあ、気を取り直してペンダントを取り戻しましょう!」

 そう言ってプシット達はイカの姿に戻り、サイト2に向かうパイプを通っていった。

「あのペンダント、タコが作ったんだってね」

「右手に見えますのが謎のロケットでございま~す」

 まるで列車の案内人のように言うホタル。

 彼女が慰めてくれたおかげで、プシットのストレスがある程度和らいだ。

 ロケットは剛毛で覆われていて、コアもなく、ラクスでも除去できそうになかった。

 パイプの先にはパラボラアンテナが見え、もうすぐで、サイト2に辿り着くようだ。


 あんしんライフファクトリー、それがオルタナのサイト2に名付けられた名。

 先程とはまた違う雰囲気であり、まるでどこかの工場を思わせる雰囲気だった。

 三つのタンクの最も高い場所に、強い反応がある。

 恐らく、あそこにペンダントがあるだろう。

「あの一番高いところに強い反応があるよ!」

「おじいちゃんかもしれんし、調べに行こ!」

「その前に、この辺を探索してからですよ」


 このサイト2にもオルタナログがあるため、プシットは様々なミッションをこなした。

 これも、全てはペンダントを取り戻すためである。


 ・人生に、メリーゴーランドのような華やぎを。

 ・ふくらむ、夢のつぼみ。街の温もりに包まれて。

 ・きらめきの高台に、ヘビブロックが伸びる。

 ・美しの夜景に、匠の遊び心がそびえる。

 ・住みこなす、都心という最上級の迷宮を。

 ・豊かな心で、ミニマムに生きる。

 ・そこに至る、その過程も美しい。


 これらは様々なブキを使って、またプシットは博識なので簡単に突破できた。

 しかし、このステージだけは、プシットは苦戦してしまったようだ。


 ・進む、未来へ。時空を駆ける街、存住。

 これはライドレールに乗って的を壊すものだが、何しろ一度通った道は二度と通れない上に、意地悪な場所に的があるという。

 セピア曰く「オススメブキは選ぶな」との事なので最も報酬が安いジェットスイーパーを選んだが、それでもなかなか当てるのが難しかった。

 しかし、それで諦めないのがプシットであり、気合と根性によって、何とか全ての的を破壊した。


「要するに、データを集めたいから、オススメにしたんですね……」

 はぁ、とプシットは溜息をついた。

 何度も挑戦したのでイクラの数が少し減っていて、ラクスはちょっと残念そうだった。

 オルタナログは粗方回収したものの、次に待つのは一体誰なのだろうか。


「それにしても、ペンダントは一体どこに……」

 すりみ連合は何のためにペンダントを盗んだのだろうか。

 事情が何であれ、まずはすりみ連合からペンダントを取り戻さなければならない。

 プシットは急いで、目的の薬缶に飛び込んだのだった。

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