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第2話 都市伝説を追って

 現代には、誰もが知っていながら、出所不明の噂が多数存在する。

 それが、都市伝説というものだ。

 人々が語り継いできた都市のフォークロアが実体化したもの。

 最も根源的な恐怖が実体化した存在――それが、都市伝説だ。

 故に、大半の都市伝説は誰かを不幸にする内容が多く、襲われるものも大半が一般人なので対処できない事が多い。

 ホラーに優しくないのは、ゲームだけで充分だ。


「……あれ、これって?」

 高校一年生の野澤啓介が自宅に帰ると、家の前に小さな箱が置かれていた。

 調べてみると、その箱はとても美しく、しかし何故か異様な雰囲気を感じた。

「何だか……引き込まれるような……」

 啓介の目が異様な光を宿す。

 まるで、その箱に魅入られているかのようだった。


 翌日――


「ここにあいつを傷つけた都市伝説がいるのか……」

 レイモンドは闇医者だが、一般人である。

 霊感がそこそこ強いため幽霊が見えるが、それでどうこうできるような人間ではない。

 まともに相手できるのは、ヒーローぐらいなのだ。

 そもそも、この町にヒーローが現れるかどうかは、確率が非常に低いのだが……。


「ねえ、知ってる?」

「あの奇妙な箱に触れると、呪われるんだって」

 とある町で、二人の高校生が話し合っているのをレイモンドは聞き逃さなかった。

 奇妙な箱とは、一体何を指しているのだろうか。

 レイモンドはそれが気になった。

 アメリカ人だが、日本語は流暢に話せるので、レイモンドは日本語で高校生に話を聞こうとした。

「あ、お兄さん、誰?」

「ちょっと怖いわ……」

 そう言って、高校生はレイモンドから離れた。

 やはり闇医者というのは、誰にも信用されない存在らしい。

 仕方なくレイモンドは町全体を調査する事にした。


「捺奈……捺奈は一体どこに……」

「雷太君……」

 一方、白いフードを被った少年は、捺奈の名前を呼びながら茶髪のショートヘアの少女と共に行動していた。

 少年の名は相川雷太、少女の名は紺野沙知子。

 雷太は、くねくねによって行方不明になった妹、捺奈を探すためにフシギから赤い手帳を奪った。

 一方、沙知子はそんな彼を心配して、彼に同行しているのだ。

「こうしている間にも、捺奈は苦しんでいるかもしれない」

「雷太君、捺奈ちゃんが大事なのは分かるけど、今は落ち着いた方がいいんじゃない?」

「……そうだな」

 雷太は素直に頷いた。

 無闇に行動して、捺奈ともども生死不明になってしまう可能性があるからだ。

「けれど、絶対に助けなきゃ。たとえ、闇の道を進んだとしても」

「……」

 沙知子はこれ以上、雷太が狂ってしまわないか、心配で心配でたまらなかった。


「うぐっ……!」

 啓介は原因不明の腹痛に襲われた。

 何も悪いものは食べていないのに、何故だか腹部に鋭い痛みが走っている。

 痛みに悶えながらも、啓介は近くの病院に行って、腹痛の原因を調査しようとした。

 だが――


「原因不明ですね」

「そんな……!」

 腹痛の原因は、不明だった。

 衝撃を隠せない啓介が医者に相談すると、医者は神妙な面持ちで言った。

「そういえば、ここには神社があるそうですよ。不安なら、お参りするのも手です」

「そうか、ありがとうございます」

 啓介は腹を押さえながらも、神社に行って腹痛の原因を調査しようとした。


 誰かを呪う都市伝説の箱。

 その箱の名前は――

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