第7話 侵略者ゼート
この世界を手中に取ろうとする侵略者、ゼートとの決戦が始まった。
「えい、えい、えい!」
「どうした? この程度か?」
カービィの素早い攻撃を、ゼートは軽々とかわす。
「偉そうな態度の割にかなり強いぜ……。確実に当てる攻撃をしなくちゃな、サンダガ!」
ソラは呪文を唱え、雷の槍を生み出し、ゼートに集中して投射した。
「ふんっ」
ゼートはバリアを張り、ソラの魔法攻撃を防ぐ。
それでも、与えたダメージはそこそこ高かった。
「これ これ これ です」
スティーブはいくつかの道具を素早く作り出す。
ゼートの周りにいた使い魔がベルに襲い掛かるが、ベルは大鎌を使って逆にダメージを与える。
「私はこの世界を守るために戦っているの。あんたみたいな奴には負けないわ!」
「フフフ……ならば眠るがよい」
ゼートは冥界の眠りを疑似的に再現するガスを発生させる。
これを吸ったら、死んだような深い眠りに落ちる。
「みんな、伏せて!」
ベルの号令でカービィ達は一斉に伏せ、ゼートが出したガスをかわした。
カービィとソラはギリギリで間に合ったが、テリーはあと一歩間に合わず、眠ってしまう。
「たった一人だが……それでも眠りについた」
「カオススピア!」
シャドウは手から光の矢を放ち、ゼートを撃つ。
ソラの言う通り、確実に命中する攻撃ならば、ゼートの回避を無効化できるのだ。
「スピードアップ!」
アルルはベルを魔法により加速し、運動能力を驚くほど上昇させた。
「ありがとう、せえいっ!」
ベルは大鎌を思い切りゼートに振り回すが、ゼートはベルの攻撃をひらりとかわした。
「死神が世界を守れるとでも思っていたのか?」
「舐めないでよね」
(彼女……死神なのか……?)
ベルが死神である事を知ったソラは、故郷で戦った大鎌を持つ男を思い出す。
だがすぐに体勢を整え直し、ゼートに吹雪を起こす魔法・ブリザガを放った。
「えーいっ!」
「食らえ!」
「グラビティ!」
カービィのキックとシャドウの拳銃がゼートに命中し、ダメージを与える。
ベルも闇魔法を使ってゼートの体力を奪った。
「かいふくします」
「ありがとう!」
スティーブは回復のポーションをカービィに投げ、体力を回復する。
その後、攻撃が届かない場所に行って、いくつかのアイテムを作った。
「ダイアキュート、ファ・ファイヤー!」
「ぐおぉっ! 貴様……許さんぞ」
回避できない強力な炎がゼートを包み込む。
ゼートは怒り狂い、分身と共にアルルを集中攻撃する。
風の爪と風の牙、毒の刃でアルルを切り裂き、とどめを刺そうと呪文を詠唱する。
「傲慢の樹木よ、貫け!」
「大打撃! ばたんきゅー……」
ゼートはアルルを植物で刺し貫いた。
樹や樹の枝で絶大なダメージを受けたアルルは、耐え切れずに戦闘不能になった。
「くっそ! 俺を見下した割には、やるじゃないか」
ゼートの魔法の威力は凄まじく高かった。
あれを食らったら、一撃で戦闘不能になるし、魔法なのでかわす事も難しい。
「貴様らが虫ケラだという事が分かっただろう? さあ、分かったら我に跪くがいい!」
「断る! 諦めないのが俺だからな! サンダガ!」
ソラは空中から雷を何発もゼートに落とす。
「いくぞ……カオススピア・バラージ!」
シャドウは光の矢を何発も生成し、ゼートに向けて大量に放ち、大爆発を起こした。
基礎的な魔法ほど応用すると強力というが、それでもゼートは倒れる気配はない。
「たすけてあげます」
「サンキュ!」
「見つけたぞ」
スティーブは作ったアイテムをソラとテリーに使い弓矢を使ってゼートを射抜く。
その行為がゼートにばれたのか、ゼートは標的をスティーブに変更した。
「ダメージです」
スティーブに向かって風の爪と風の牙、毒の刃が放たれ、彼の身体を切り裂く。
その威力は非常に高く、スティーブは瀕死になった。
「傲慢の樹木よ、貫け!」
「……!」
スティーブにとどめを刺そうとした瞬間、シャドウがスティーブとゼートの間に割って入る。
彼の手には、ロケットランチャーが握られていた。
「ぐああああああああああああ!!」
樹木に貫かれたシャドウは大ダメージを受け、そのまま戦闘不能になった。
シャドウの手からロケットランチャーが落ちる。
「あ シャドウ どうして たおれました」
「多分、ロケットランチャーでとどめを刺そうとしたと思うわ……」
「うぐっ!」
ベルがそう推測すると、スティーブの身体が急に緑色になる。
先程の攻撃で、毒を受けてしまったのだ。
「ハチミツ ハチミツは どこに」
「……ごめん、蜂蜜はないから持ちこたえて」
「わかりました」
スティーブは何とか毒を持ちこたえながら、秘湯発掘で体力を回復しようとする。
しかし回復源を発見できず、状況は徐々に劣勢になっていく。
「フン」
「えいっ!」
カービィはゼートが飛ばした人魂を吸い込み、星型弾にして吐き出し、ゼートにぶつける。
「スライス!」
「ソニックレイヴ!」
ベルとソラの攻撃がゼートにクリーンヒットする。
ゼートは炎の玉をカービィとソラに飛ばして反撃し、ソラはファイガを放って反撃した。
「虫ケラにしてはやるではないか。だが、虫ケラの反撃もここまでだ。憤怒の火渦よ……飲み込め!!」
ゼートが呪文を唱えると広範囲に火炎が放たれる。
「うわぁー!」
「くっ……!」
「やられました」
攻撃をまともに食らったカービィ達は大ダメージを受け、テリーは目を覚ますもスティーブは戦闘不能になる。
しかし、ベルは炎が効かず、ピンピンしていた。
「何!? 我の攻撃が効かない!?」
「残念だったわね。死神はこれくらいの攻撃、効かないわよ! さあ、お遊びはここまでにするわ! 覚悟なさい、侵略者ゼート!」
そう言ってベルは、シャドウがよこしたロケットランチャーを構える。
その重量は相当なもので、シャドウか、鍛えた軍人でなければ持てないだろう。
ベルは額に汗をかきながらロケットランチャーを発射する構えを取る。
「予備動作が長ければ、簡単にかわせ……」
「そうはいかないよ!」
そう言って、カービィはゼートにしがみつき、ゼートが逃げられないように懸命に組み付く。
もちろん、ベルの攻撃が当たらない場所で。
「ありがとう、カービィ!」
「馬鹿な……放せ、放せぇぇぇぇぇっ!」
先程まではカービィ達を見下し、魔法で追い詰めていたゼート。
しかし今度は逆に、自分が追い詰められていた。
セフィロスとカズヤが見たら喜びそうな顔だった。
「ゼート……あんたが何を考えていようが、どんな過去があろうが、世界を滅茶苦茶にしていい理由にはならないわ!」
シャドウがくれたロケットランチャーが火を噴き、弾丸がゼートに着弾する。
すると大爆発が起こり、ゼートを包み込んでいく。
「グアアアアアアアアアアアアア!!」
大爆発に飲み込まれたゼートは、叫び声を上げた。
そして、ゼートの身体はボロボロになり、光の中に消えていった。