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 今日、スマブラ屋敷ではこどもの日にちなんだ小さなパーティーが行われる。
 端午の節句とは言うものの、「こどもの日」に男女の関係はないため、スマブラメンバーは特に気にしていなかった。

「この柏餅? ってのはあいつが選んだだけあって美味そうだな」
「ハンバーグやふわふわオムレツもばっちりできてるよ。あ、つまみ食いはダメね」
「分かってる」
 料理担当のルイージと彼の手伝いのテリーは、料理の出来を評価する。
 大食い組の分はあらかじめ別に用意してあるため、問題はない。
 今日は子供達を中心にしていくため、子供が喜びそうな料理が多く、ルイージとテリーも作っていて楽しい気持ちになっていた。

 

「こいのぼりの飾りつけも終わったし、後は料理を配って、今日の主役が来るのを待つだけだね」
「みんな楽しみにしてるよな」
 こうしてルイージとテリーは料理を配膳し、子供達を待つだけとなった。
 美味しい料理の匂いを嗅ぎつけて、すぐにやってくるはずだったが、5分経っても子供達が来る事はなかった。
「おかしいな……なんで来ないんだ?」
「みんな楽しみにやってくるはずだったのに……。テリー、とりあえず外に出よう」
「……そうだな、子供達に何かあるかもしれないからな」
 ルイージとテリーは念のため、スマブラ屋敷の外に出ていった。
 子供達に何か起こっていないか、調べるために。

 

 二人が町を出ると、町の人がこんな話をしているのを聞いた。
「あっちの廃屋に、子供をさらっていく鬼の姿が見えたよ」
「うまぞうだなあって言ってたみたい」
「魔法が使える鬼もいたらしいって」
「……!」
 町の人の話を聞いて、テリーは犯人が誰かを確信した。
 魔法が使える鬼はルイージもテリーも知らないが、もう片方はゼートが襲撃した時にテリーを襲った妖怪腐れ外道だ。
 一応、スマブラメンバーは戦えるので無事だとルイージとテリーは信じているが、

 子供達に何かあったら大変だと思い、二人は廃屋に向かっていった。

 

「ここが子供がいる廃屋みたいだね」
「無事でいろよっ!」
 見張りの鬼を撃退した後、ルイージとテリーは廃屋に突入する。
 廃屋は暗く、明かりがないと見づらいため、ルイージは弱い炎を出して明かり代わりにする。
 それでも周りは薄暗いため、二人は慎重に探索した。

「テリー、向こうから誰かの声が聞こえるみたいだよ」
「ん、誰の声だ……?」
 ルイージに言われてテリーが聞き耳を立てると、西から子供達の声が聞こえた。
 いずれも「助けて」と誰かに助けを求めているような声だ。
 また、何か不思議な力を使おうとした音もあるが、何も起こっていない。
「西だ、とりあえず西に行ってみるぜ!」
「テリー、できるだけ慎重にね!」

 ルイージとテリーが西に向かうと、そこにはカービィ、ネス、リュカ、アイスクライマーなどの子供達が薄汚れた姿になっていた。
 また、子供達の前には妖怪腐れ外道と魔女の姿がある。
 魔法が使える鬼とは、この魔女の事を差していたのだろう。
「あ、みんな……!」
 闇の手枷で拘束されたネスとリュカは涙目でルイージとテリーを見る。
 魔女にPSIを封じられて、どうしようもできなかったのだろう。
 当然、テリーは戦闘態勢を取り、ルイージも真剣な表情で身構える。
「女を殴る趣味はないんだが、子供を傷つける者は許さないからな!」
「早く帰らないと、どやされるからね……」

「うまぞうだなあ!」
「おっと、危ない! ファイアボール!」
「ライジングタックル!」
 ルイージは先手を取って妖怪腐れ外道にファイアボールを放つ。
 テリーは呪文を詠唱しようとした魔女をライジングタックルで妨害し、投げ飛ばした後にバーンナックルで攻撃する。
「悪いが、こっちも急いでるんでね」
「子供達の笑顔のためにも、容赦しないよ!」
 ルイージは優しい性格だが敵には決して甘さを見せず、容赦なくルイージロケットやファイアジャンプパンチで鬼を攻撃する。
 子供を守るためにも、ルイージとテリーは彼らに負けるわけにはいかない。
 妖怪腐れ外道や魔女も格闘や魔法で反撃するが、狭い場所でも戦い慣れているルイージと強力な格闘技を操るテリーの敵ではなく、

 あっという間に組み伏せられ、倒された。

「さあ、早く脱出しよう!」
「ありがとね、テリー、ルイージ!」
 ルイージとテリーは子供達を連れて、急いで廃屋から脱出した。

「それじゃあ、身体を綺麗にしてから、パーティーを楽しみましょう」
 こうして捕まった子供を連れて無事に戻ってきたルイージとテリーは、ピーチ姫に魔法で身体を綺麗にしてもらった。
 もちろん、子供も汚れていたため、ピーチ姫は特に丁寧に子供達を綺麗にした。

「やっぱりこどもの日だから、子供は無事でなくっちゃね」
「そうだな、最近は子供を虐待する親なんかがいるからな……虫唾が走るぜ」
「ねーねー! そんな事はいいから早くご飯、ご飯ー!」
「カービィはいつもそれだね」
 ご飯を要求するカービィを、ルイージは優しく撫でる。
 テリーは愚痴を吐きながらも、そればかりではご飯がまずくなると思い、パーティー中は一切の愚痴を吐かないようにした。

 こうして、トラブルはありながらも無事、こどもの日のパーティーは開催された。
 ネスとリュカは美味しそうにハンバーグとふわふわオムレツを食べ、カービィはプチトマトを添えた山盛りのコロッケを食べている。
 アイスクライマーは二人で仲良く茄子のカレーを食べていた……が、ピットは何故かアイスクライマーを避けていた。

「おいしー!」
「こどもの日に食べる柏餅……最高だね」
 そしてご飯の後に柏餅を食べて、子供達は満面の笑みを浮かべた。
 彼らは気づいていないようだが、この柏餅はピーチ姫が選んだものであり、彼女の目に狂いはなかったようだ。

「こんなに子供が喜んでるなら、僕だってつられて喜んじゃうよね」
「今日はこどもの日だから、大人も子供みたいにはしゃいじゃおうぜ!」
 ルイージとテリーも、元気な子供達を見て、ほっこりした気持ちになるのだった。

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