スマブラ屋敷では新年に備えるべく、メンバー達は屋敷の大掃除をしていた。
マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウらスマブラ四天王は皆の前に立ち、手本になるように丁寧に掃除した。
「屋敷を綺麗にして、新しい年を迎えなきゃな」
「汚れを拭いて、埃を取って……」
「終わったら年越しそばをたくさん食べよー!」
「カービィはやっぱりこれだよな。まあ、ちゃんと掃除をしろよ」
そうして、皆はそれぞれの担当箇所に分かれて掃除を始めた。
「う~ん、あんまり本は好きじゃないんだけど……まあ、大掃除だしな~」
「こらこら兄さん、愚痴を吐いちゃダメだよ」
マリオは双子の弟のルイージと共に、書斎を掃除した。
机の上の書類や本を整理し、埃を払い、窓を拭く。
「ん?」
「どうしたの、兄さん」
ふと、マリオがアルバムを見ると、そこには争いの世界での思い出がたくさん詰まっていた。
亜空軍を撃退した写真、第二次亜空軍異変の時の写真、キーラとダーズから世界を守った時の写真など、色々な写真があった。
「これ、俺達のここでの思い出なんだよな。これを見るだけで、あの時の冒険を思い出しちゃうぜ」
マリオはそれらを見て、昔を懐かしむ。
それに対し、ルイージはせっせと書斎を掃除していた。
真面目な弟を見て思い出にふけっている暇はないと思ったマリオは、ルイージと共に書斎を掃除した。
リンクは料理係のファルコンとヨッシーと共に、台所を掃除した。
食器や鍋や包丁を洗い、棚や冷蔵庫を拭いていく。
「これは流石に、食べられませんよね~」
「ああ、ちゃんと捨てろよ」
ゴミを食べようとしたヨッシーを制止しつつ、リンクはゴミを捨てる。
掃除をしていた時、リンクはここで作った料理を思い出す。
皆のために作った料理や、友人と楽しく食べたお菓子、それに特別な日に飲んだ飲み物など。
「ここも……新しい年のために、綺麗になるんだよな」
「そのためにも、ちゃんと掃除は終わらせなくちゃな」
「私も手伝いますね~!」
「やっぱり掃除には、このコピーが一番!」
「これ、使い過ぎて汚れた箒なんだけどね」
「喜んでくれてよかったぜ」
カービィは箒を吸い込んでクリーンをコピーして、リビングを掃除した。
彼と一緒に掃除をしているのは、ネスとソラだ。
三人で一緒にソファやテーブルやカーペットの汚れを取り除き、テレビやオーディオを拭いて飾り物を整えた。
「まさか汚れた箒がここで役に立つとはね」
「ただ捨てるだけなのはもったいないしな。カービィの胃袋が頑丈で助かったぜ」
ネスとソラはそう言いながら、リビングを掃除していた。
「二人とも、何言ってるのー?」
「ううん、何でもないよ」
「年越しそばを食いたかったら、早く手を動かせよ」
「はーい!」
ピカチュウはロートと共に、それぞれの部屋を掃除した。
ベッドや枕や毛布を丁寧に畳み、クローゼットや引き出しを整理しアロマを置く。
ピカチュウはふかふかベッドに愛着があるのか、特に手入れは丁寧だった。
「ここでチュチュと一緒に寝て……ふふふふふ……」
「おい、何をぼーっとしてるんだ? 早く掃除をして、気持ちよくなろうぜ」
「お、おう、そうだな」
実はピカチュウはチュチュというメスのピカチュウに片思いしている。
彼女のためにもしっかり掃除しなければと、より丁寧に掃除をした。
「マリオやリンクが頑張ってるんだ。ボク達も一緒に頑張ろう!」
「ああ!」
バンダナワドルディことランスが残ったスマブラメンバーに号令をかけると、スマブラ屋敷の庭、玄関、廊下を掃除した。
草を刈り、花を植え、雪をかき、靴を磨き、絨毯をはたく。
彼らはスマブラ四天王が一生懸命に大掃除をしているのを見てやりがいを感じた。
「ボクやシャドウは非公認ファイターなんだけど、それでもファイターなんだ。
みんな、しっかり大掃除しよう! もちろん、大王様のためにもね!」
「……『彼女』も、綺麗好きだった気がするな」
「えっ、誰の事?」
「君には関係のない事だ」
午後になり、スマブラ屋敷の大掃除はほぼ終わった。
マリオはスマブラメンバーを呼んで、屋敷の中央に集まった。
「みんな、お疲れ様! 今年一年は、ありがとうの気持ちでいっぱいだ。
キーラやダーズが攻めてきて今年は大変だったんだけど、やっぱりスマブラメンバーの絆がこの世界を守ってくれた。
これから年越しそばを作るから、ゆっくり休んでくれ」
そして数分後、リンクなどの料理係のおかげで、年越しそばは完成した。
どうやら大きな冒険を終えたからなのか、一から作ってきたらしい。
マリオが持ってきた大鍋の中には、熱々の出汁と太くて長いそば、紅白かまぼこ、狐色の油揚げ、わかめ、ネギ、
そして一際目立つエビの天ぷらが入っていた。
「俺達が作った、特製年越しそばだ。みんなに『ありがとう』って言いたくて、協力して作ったんだ」
「月並みだけど、みんな、これを食べて年を越してね」
リンクとルイージはそう言って、丼と箸を配った。
メンバーはそれぞれに丼にそばを盛り「いただきます」と言って、食べ始めた。
「んー、美味しー! 何杯でも食べたくなっちゃうよ!」
カービィが満面の笑みを浮かべている通り、年越しそばはとても美味しかった。
出汁は深くコクがあり、そばはもちもちして喉ごしも良かった。
カービィはそばを笑顔ですすり、マリオやリンクも美味しそうにそばを食べる。
ピカチュウは、黙々と年越しそばを食べていた。
「マリオ、今年もよく頑張ったな」
「カービィもピカチュウも、いつも以上に張り切ったじゃないか」
「ありがとー、マリおじちゃん!」
「サンキュ、マリオ」
「どういたしまして。他のみんなも、世話になってるな」
「ううん、普通にやっただけだよ」
そうして、スマブラメンバーは和やかに会話しながら、年越しそばを食べた。
平和と健康と幸せを願う年越しそばを食べた皆は、来年もこのスマブラ屋敷で、仲良く暮らしたいと思った。
そして、すっかり日が沈んで辺りは暗くなった。
マリオ、リンク、カービィ、ピカチュウは、スマブラ屋敷の外に出る。
その夜空には満天の星が輝いていて、四人は星空を見上げた。
「うわぁ、星がいっぱい! 綺麗だな~!」
「本当に綺麗だぜ。星は、夜にしか見えないからな」
「ゼルダはこの星を見たら、絶対に感動するだろう」
「来年もこんなに綺麗な星空が見られるといいんだけどな」
「そうだな、来年もみんなで幸せになろう!」
「「「ああ(うん)!」」」
スマブラ四天王はそう言って、互いに笑顔を見せた。
そして四人は屋敷に戻り、風呂で身体を綺麗にした後、ベッドに入った。
皆は心地よい疲れと満足感と幸せ感に包まれて、ぐっすりと眠りについた。
争いの世界は、今年も、来年も、争いこそあれど平和だろう。
スマブラ四天王を含めたスマブラメンバーは心の中で、そう思うのだった。