ここ、争いの世界のすま村では、救世主の復活を意味する祭り……イースターが行われようとしていた。
生命を司るウサギの衣装に身を包み、卵料理を食べたり卵の飾り付けをしたりする祭りである。
「イースター、楽しみだね!」
「お前は卵料理が食べたいからだろ」
「ゼルダ姫はなんでこんなのを選んだんだ?」
「多分、ゼルダ姫が知ってるウサギはこれしかなかったと思うぜ」
相変わらず食欲旺盛なカービィを茶化すマリオに、他愛ない会話をするリンクとピカチュウ。
彼らスマブラ四天王はあらかじめ今回の主役……ウサギの格好をしていた。
マリオはラビッツ、リンクはゼルダ姫から借りたウサギの衣装、カービィはポロフ、ピカチュウはミミロルをあしらった衣装だ。
「みんな、イースターは楽しんでる?」
「満月の日に、わたしが作った卵料理を……ああっ!!」
りょうとしずえがイースターを知らせようとすると、急にしずえが慌てる。
「ど、どうしたの?」
「卵が全部なくなってます!!」
何事かとりょうが彼女に声をかけると、料理に使う卵が全てなくなってしまった。
「どうしよう……このままじゃ、みんなにご飯を作れません!」
「えっ、じゃあイースターはどうなるんだ!?」
「最悪、中止になるかもしれません……」
「やだやだ、絶対に卵料理を食べるんだから!」
卵料理を食べたくて駄々をこねるカービィのためにも、卵がなくなった原因を調べなければならない。
日没の時間に卵料理を食べるため、それよりもかなり早めに解決しなければ、イースターは中止になるだろう。
「俺が思うに、多分……卵を盗んだ犯人はこいつだろうな」
「えっ、ホントか!?」
どうやらピカチュウは、卵がなくなった原因が分かっているらしい。
マリオ、リンク、カービィすらも原因を特定できない中、ピカチュウを頼りにマリオ達が走ると、
ピカチュウの予想通り、卵を後ろに隠したボコブリンやモリブリンの姿があった。
「そっか、こいつらが犯人だったのか!」
「早くこいつらをやっつけて、卵をいっぱい食べよう!」
スマブラ四天王は卵を盗んだボコブリンとモリブリンと戦った。
だが物量で攻めてくるものの所詮は雑魚であり、最初こそボコブリンが棍棒でマリオとピカチュウを殴ったものの、
スマブラ四天王の必殺技であっという間にボコブリンとモリブリンは全滅した。
「たったこれだけか? あっけない……」
「ボコブリンやモリブリンは数で攻めてくるけど五体しかいなかったしな」
「五体“しか”……?」
リンクがさらりと、ボコブリンとモリブリンの脅威を話す。
これには流石のピカチュウも、顔が青ざめていた。
何はともあれ、卵を取り戻す事はできたので、スマブラ四天王はりょうとしずえのもとに向かった。
「ふう、何とか卵は取り戻したぞ」
やっと卵を取り戻したマリオ達は、ふらつきながらも卵をりょうとしずえに渡す。
日没で満月が出るまで、あと一時間……料理を作る時間を合わせるとかなりギリギリだ。
「よかった……卵は全部無事みたいだ」
「あいつら、妙に丁寧だよな」
「とにかく、卵を取り戻してくれてありがとうございました。日没まであと一時間しかありませんが、頑張って卵料理を作ります!」
「じゃあ、僕も手伝うね」
しずえは日没に間に合うように、やる気満々で卵料理を作り始めた。
りょうも、彼女の料理作りを手伝った。
こうして何とか日没までに、りょうとしずえは人数分と大食い組のための卵料理を全て作り終えた。
雲から満月が少し出ており、リンクはそれを見て「風流だな」と思ったとか。
目玉焼きに卵焼きに野菜オムレツと、卵づくしの料理にご飯も卵かけご飯である。
「いただきます」
挨拶をした後、マリオは卵料理を一口食べ、そして顔が赤くなる。
「確か、今日は救世主復活を祝うお祭りだったな。一体どんな奴だろう」
「もしかしたら、リンクみたいな奴かもな」
「ねー、そんなのはいいから早く食べようよ!」
カービィは、やはり卵料理を食べたがっているのか、話に入らずにたくさん料理を食べている。
「……まあ、言われてみればそうだな。難しく考えずに飯を食うのも悪くない。トラブル解決後に食べる飯は絶品だからな」
「きっと、卵も俺達に助けられて喜んでるだろう」
「だから感謝して食わないとな」
「このオムレツ、美味しいね! 付け合わせのトマトも美味しいよ!」
食べる前のいただきます、これは魔物から卵を助けた感謝の挨拶でもある。
スマブラ四天王を含めたスマブラメンバーも、きっと同じ気持ちだろう。
「……彼も、喜んでるかな」
光り輝く満月を背後に、マリオはそう呟くのだった。